クイックリフト講座① 最強のアスリート種目【クリーン】を攻略せよ

筋トレを科学する

クイックリフトとは

クイックリフトはウエイトリフティング競技でも行われている動作をトレーニングに取り入れたものです。

クイックリフトは、大きく分けると以下の3つになります。

  クリーン  
  スナッチ  
  ジャーク  

▲クリックすると各種目の詳細ページにジャンプします

これらはスポーツ動作に不可欠な瞬発力や爆発的パワーを向上させることが出来ますので、アスリートをはじめ、競技スポーツを行っている方にはぜひトレーニングに取り入れて頂きたい種目です。

クイックリフトの具体的な効果については以下の記事に詳しく書いていますのでご覧ください。

まずはじめにこちらの記事をご覧ください▼

競技パフォーマンス向上に不可欠!クイックリフトを徹底解剖
筋トレには筋肉を強くしたり、大きくしたりする効果があります。 ベンチプレスやアームカール等のフリーウエイト、そしてマシントレーニング等が代表的な例でしょう。 フィットネスブームが到来した現在、各地のジムで良く見るトレーニングのほとんどが...

 

クリーンとは

クリーンはクイックリフトの中で最もポピュラーな種目であり、最近は高校や大学の部活動でも実施しているようです。

最近話題のラグビー日本代表チームも、このクリーンを積極的に練習に取り入れているようです。

一般的な筋力トレーニングよりは難易度が高いですが、他のクイックリフト種目と比較すると一番取り組みやすいかと思います。

 

クリーンで鍛えられる筋肉

クリーンの動作は非常に複雑です。

その動作に伴って全身の筋肉・関節が動員されますので、関与する筋肉は【全身】と言えるでしょう。
その中でも特に以下の筋肉が働きます。

下腿三頭筋
大腿四頭筋
殿筋群
ハムストリング
脊柱起立筋
僧帽筋
三角筋
前腕筋群
上腕三頭筋
腹筋周り

このようにクリーンは全身の筋肉が関与するため、この種目に取り組むだけで全身を効率よく鍛えることが出来ます。

確かに上記の筋肉を鍛えることは出来ますが、通常の筋トレのような筋肥大の効果はあまり望めません。
これはクリーンの種目の特質上、仕方のないことです。

特定の部位をストリクトに追い込むトレーニングとは切り離して考えることが必要です。

 

クリーンを行う目的

冒頭でも触れたように、クリーンでは全身の筋肉を爆発的に動員して動作を行います。

バーベルを持ち上げる際に「爆発的挙上」により瞬発的に動作するため、結果的に全身の瞬発力の向上が見込めます。
その結果、バスケットボールでより高くジャンプ出来るようになったり、野球でバッティングの飛距離が伸びたり、陸上で速く走れるようになったり・・・・・・

クリーンから得られる効果は非常に高いため、プロアスリートも積極的に取り入れているのです。

またクリーンでは複雑な動作によりバーベルを操作するため、ちゃんとしたフォームでクリーンが出来るようになる頃には体の使い方が上手になっています。

クリーン動作を正確に動作することが出来れば「全身の連動性の向上」に繋がり、その結果各スポーツにおけるパフォーマンス能力をアップさせることが出来るようになります。

クリーンは特定の筋肉を鍛えるというよりも全身の筋肉の連動性を高め、スポーツ競技におけるパフォーマンスアップを目的としている

 

基本的なクリーンのやり方

では早速、クリーンのやり方について解説していきます。

クリーンは見ての通りとても複雑な動作をしますので、いくつかの局面に分けて解説していきます。
アームカールやカーフレイズ等の単関節運動とは違い、全身の関節を一気に動かしますので、全身に注意を傾ける必要があります。
基本を覚えるまでに相当な時間を要しますが、一つずつ根気よく続けていきましょう。

なお、ここでは以下の動画が非常に参考になりますので、この動画に沿って解説をしていきます。

動作前のセットアップ

まずはバーベルを挙げる前の姿勢を作っていきましょう。
この姿勢が取れていないと、その後の動作に大きな影響を及ぼします。
セットアップを制する者はクリーンを制するというものです。

・肩幅よりやや広くバーベルを握る
・足の幅は肩幅くらいにする。この時、バーは脛に当たっていることが望ましい
・腕は力を入れず、ただバーを握っている感じ
背筋は伸ばし、目線は正面に向ける
・腰は高くならず、しっかり低い位置まで落とすこと
▲横から見た姿勢

【局面①】ファーストプル

ファーストプルとは、バーベルが地面から浮いて膝の前を通過し、股関節辺りまで挙がってくるフェーズのことです。

この局面では、セットアップで作った姿勢を崩さないことが一番のポイントになります。
ここで姿勢が崩れてしまっては、次の局面に移った際に正確なクリーン動作が不可能になります。

・セットアップで作った姿勢のように、視線は正面から離さない
・バーベルは絶対に体から離さないように、スネを擦るようにして垂直に挙げていく
・背筋は常に伸ばしておく

【局面②】セカンドプル

セカンドプルとは、股関節の高さまで挙がってきたバーベルを下半身全体の力を使って一気に上方に引き上げる動作です。

この局面では、地面反力を上手に使ってジャンプし、上半身のシュラッグ動作を利用してバーベルをなるべく高い位置まで引き上げます

・バーベルが股関節の辺りまで挙がってきたら、地面を強く蹴ってジャンプしながら腰を前方に突き出す
・それと同時に、ちょうど股関節の位置にバーベルをぶつけ、バーを上方に跳ね上げる
・跳ね上がったバーベルをさらに引き上げるために、肩をすくめる動作(シュラッグ)を加えていく

【局面③】キャッチ

クリーンの最終局面はキャッチです。
ここでは、引き上げてきたバーベルを肩の上でキャッチします。
キャッチには手首や肩甲骨、股関節の柔軟性が非常に重要になってきます。
・バーベルが引き上げられている間に両ひざを軽く曲げ、姿勢を低くする(この時、少しだけ両足を外側に開くとしゃがみやすいです)
・バーの下に潜り込んだら、手首を返してバーを肩の上でキャッチする
・キャッチする際は膝のクッションを使って衝撃を和らげる
・キャッチの時は肘を前方に突き出し、手首は反りかえって手のひらが上を向く状態になる
・最後に膝を伸ばして直立状態になったら動作完了

動作のポイント・注意点

上の動画をご覧ください。正しいクリーン動作は左の女性のようになります。
では、右の男性と比べてどこが違うのかを細かく解説していきます。

①バーベルは垂直に挙上させる

上の画像の線はバーベルが動いた軌跡を表したものです。
これを見ると分かるように、左の女性はバーを垂直に挙げることが出来ています。
反対に、右の男性はバーベルが前方に流れてしまい、最後に後方に戻しています。
これではパワーの出力に大幅なロスが生じ、バーベルに上手く力を伝えられなくなります。
バーは必ず垂直に挙げる必要があります。そのためには次の②の意識が必要です。

②バーベルは極力体の近くを通るようにする

これも上の写真を見て分かるように、左の女性はバーベルの軌跡が体から近いところを通っていますが、右の男性はかなり遠い場所を通っています。
これを改善する方法として、以下のことをまず確認してみましょう。
・セットアップの際にしっかりと腰を落としているか
・セットアップの段階でバーがすねに付いているか
・セカンドプルの際にシュラッグ動作でバーを身体側に引きつけられているか

③スタート時の腰の高さを低くする

上記でも説明しましたが、スタート時に腰が高いまま動作を始めると、バーが体から離れたまま引き上げられることになります。
それではパワーに大幅なロスが生まれ、非常にもったいないです。
スタート時は腰をしっかりと落とし、バーを身体になるべく近づけた状態で動作を開始しましょう。

クリーンのバリエーション

ひとくちにクリーンと言っても、実は様々なバリエーションが存在します。
ここでは、トレーニング種目としてのクリーンのバリエーションをご紹介します。

ハングクリーン

バーベルを床からではなく腰の前まで持ち上げた状態から始めるスタイルを「ハングクリーン」といいます。
床から引き上げるクリーンよりも簡単なので、初心者はまずこのハングクリーンから始めることをオススメします。
ただし腕の力で持ち上げてしまいやすい種目でもあるので、しっかりと足による反動を使って挙げましょう。
▲ハングクリーン

パワークリーン(ハイクリーン)

バーをキャッチする際に、深くしゃがみこむのではなく高い位置でキャッチするクリーンです。

深くしゃがみこんでキャッチするクリーン(ロークリーン)はかなりの技術を要するのに対し、このパワークリーンはある程度難易度は低いです。

ウエイトリフティングの選手でもない限り、このパワークリーンをお勧めします。

また、ロークリーンよりも高く挙げないとキャッチできませんので、より高い爆発力が求められます。
このパワークリーンをハングの状態から始めるスタイルが最もポピュラーであり、連続して行い易いといえます。

▲パワークリーン

クリーンプル

このクリーンプルは、キャッチの動作を取り除いたクリーンになります。
地面からバーを引き上げ、セカンドプルの動作を爆発的に行ったらそこで終了です。
手首や肘を痛めている方には最適なクリーンでしょう。
またこのクリーンプルは通常のクリーンよりも高重量を扱えるため、クリーンのMAXを伸ばしたい方は一定期間このクリーンプルを行うことをオススメします。

重量・回数・セット数の決め方

重量

正確な動作が身に付くまでは、バーだけで行うと良いでしょう
徐々に慣れてきたら重量を上げていきます。
目安としてはMAXの80%以上の重量を選択しましょう。
軽すぎても全身のモーターユニットを動員できず、また腕で挙げてしまいがちになります。
80%以上の重量で、1レップずつ爆発的に動作しましょう。

回数

5レップ以上はオススメしません。
そもそも5レップ以上を簡単に扱える重量は軽すぎますし、クイックリフトの性質上、高回数をやる意味がないからです。
クイックリフトは全身のモーターユニットを動員し爆発的な動作を行うことが目的です。
重量が軽いとモーターユニットが上手く動員されません。
また高回数を行うと、筋出力よりも肺活量がキツくなり、本来の目的から外れてしまいます。
5レップ以内で、全速力でバーベルを動かすことが重要です

セット数

セット数に関しては3~5セットで良いでしょう。
あまりセットが多すぎても、疲労した状態で行うクイックリフトは出力が低下するため効果が薄いです。
バーベルを挙げるスピードが落ちてきたらそこでセットを終了して良いでしょう。

終わりに

以上がクリーンの説明となります。

クリーンはスナッチよりも比較的難易度が低く、高重量が扱えるので、さまざまなアスリートに好んで実施されています。

正しい方法を正しいフォームで行い、競技パフォーマンスのアップに繋げていただければと思います。

コメント

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